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管理人の萌や日常を徒然なるままに。。。
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<趙雲視点>


兎角二人でいると会話が無い。

特に必要としていないからで、
決して嫌な沈黙に埋まっているわけでは無い。
それを気にしたことも無かった。

二人、欄干に背を預けて窓から愛でる月を肴に酒を飲む。
馬超は相変わらずの寡黙さで、
時折酒に映りこむ月さえ愛でながら
まるで向かいに趙雲が座っていることさえ感じさせない。

喉を通る酒の熱さを感じながら、
月光に照らされた恋人の灰の目を見た。
青白い月下だからこそわかる佳人のその瞳は、
近しいもののみが知りえる色だ。
冷たい色だが美しい。
馬超がその目で愛で映す月よりよほど。


かつん、と、陶器が触れる音がした。
乾いた趙雲の杯に、
馬超がゆっくりと酒を注いでいる。
忘れられてはいなかったのだなと、
それでもこちらを見ようとしない恋人の、
伏せられた瞼とゆっくりと酌するしぐさを追いながら
心の中で一人呟いた。

と、急に灰の瞳が己を映す。


『俺ばかり見てくれるな』


とでも言うように、
少し眉を寄せて笑う馬超に。


これもまたこの男の声なのだなと、
静かに瞼を閉じ、
笑いながら酒を流し込んだ。

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